神崎美柚の小説置き場。

新しいスマホにやっと慣れてきました……投稿頑張ります

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

《歪な》運命 第6.5話「秘密」sideアキナ

私はムアーナの秘密を探るべく、魔法学院を管理する学院管理部を訪れた。唯一機関の敷地外にある組織。アポイントメントは私ですら取りにくい。交渉にかなり時間がかかった。 出てきたのはここのトップとも呼べる長官だ。「ムアーナの履歴、ですか」 「はい…

《歪な》運命 第6話 「異常事態」sideユイ

4月の暮れ 貴族の娘の自殺というのは貴族クラスではかなり話題になり続けた。私達も例外ではない。 しかも、彼女の家柄は中途半端だった。兄の犯罪の有無以前に、家は王宮貴族でもなければ、諸侯貴族でもない、改革派貴族だった。 改革派貴族は二つの間にあ…

《歪な》運命 第5.5話「おかしな話」sideアキナ

昨日、案の定放置されていた自殺した女子生徒の部屋に入った。担任の語っていた優秀な生徒というのが本当ならば、整理整頓が行き届いているのがふつうだろう。 ところが、それとは真逆で、勉強道具だけはきちんと片づいていたのに、それ以外の物が雑多に置か…

《歪な》運命 第5話「縛り」sideミシェル

私はこの一週間、ずっと補講だらけの日々を送っていた。さすがに毎日補講はないけれども、それなりの成績が取れないため、課題がかなり出されていた。 おかげで部屋に戻っても課題ばかりで、あまり仲は深まっていない。 昨日だって補講があったから、二人と…

《歪な》運命 第4.5話「事件」side学院長

入学の儀から早一週間。既に庶民の下位クラスに属する数名を地方の学院に送った。全く……困ったものだ。 私は激務に疲れ、週末であるこの日、ついつい職員棟二階の森の近くにある休憩スペースで眠ってしまった。 すると、額にひんやりとした感触があった。思…

《歪な》運命 第4話「しあわせ」sideマリア

「あー、疲れた」 「本当、そうだよね」 あれから一週間。各学年は完全に分かれており、あまり上級生は見たことがない。だけれども、ふと、外に出ると、試練の森(四年生と五年生の棟と一年から三年の棟の間にある為こう呼ばれている)で休憩している先輩も…

《歪な》運命 第3.5話「取引」sideユイ

「あら、その顔……知らなかったみたいね」 「それはそうよ。だって彼女──」 「ナーシャ。黙って」 「ノア! あなたも知っているはずよ! 彼女は、あの子だって」 「だからって嫌うの? ナーシャ、それはよしなさい」 「うっ」 ……二人とも私の過去を知っている…

《歪な》運命 第3話 「行動」sideミシェル

もうすぐお昼時。なのに、私のルームメイトはまだ見あたらない。 全く……。せっかくのお昼ご飯、一人になってしまうじゃないか。 私はお部屋から出て、寮の食堂へと向かった。ここは庶民の下位クラス専用で、私とマリアが今後会うことはないだろう。 寮自体は…

《歪な》運命 第2.5話「仲間」sideユイ

私は一人になったような気分だった。いくら一位になれたってうれしくもない。私の親族は全員機関の人間だから、また誤解されるだけだろう。だからといって、気を抜けば怒られてしまう。 私はミシェルとマリアが今は貴族ではないことを悲しく思った。両親曰く…

《歪な》運命 第2話「魔法学院の掟」sideマリア

早朝の臨時便に乗り、私とミシェル、そして私達の両親は入学式へと急いだ。今年の入学者は200名程と例年よりかなり少ないらしいが、途中で増えることもあるらしい。「久しぶりだわ。魔法学院」 「おお、本部に通われていたのか」 「ええ」 ミシェルの両親は…

《歪な》運命 第1.5話「機関」side.アキナ

今日はお祭りの日。浮かれた人々が国中から集まる、何ともつまらない日だ。 貴族の子供の大半はこの日、大概が祭りの中心地でもかなりお高いエリアである東地区に集まるものだ。そして、必ず犯罪が起こる。特に初日は、まだ学院の入学式前ということもあり、…